松井彰彦東京大学教授のこどもーる講演会「ほんとうに人間はいいものかしら~童話で読み解く経済のあり方~」、素晴らしかったです!
去る9月13日(土)午前10:30から松井彰彦東京大学経済学部教授の特別講演会「ほんとうに人間はいいものかしら~童話で読み解く経済のあり方~」がこどもーるで開催され、多くの方々にご参加いただきました。
松井彰彦教授は、経済が発展するとはどういうことか、市場とはどういう意味のあるものなのか、「自立」とはどういうことなのか、などについて、わかりやすくお話し下さいました。
まず、「経済が発展することはどういうことか」については、gapminderのグラフ(豊かさ(1人あたりのGDP)と平均余命との関係を各国ごとに表した下(↓)のグラフ。「Play」をクリックすると過去から現在に向かってグラフがどんどん動いていきます。例えば第一次世界大戦や第二次世界大戦のときなどには、多くの国で所得も平均余命も顕著に下がったことがわかります。)を見ながら、豊かになってこそ寿命が長くなること、昔は乳幼児の死亡率が高かったために平均余命が短かったこと、先進諸国と発展途上国との差は昔より拡大していること、などをわかりやすく説明され、やはり経済発展は必要であることをお話し下さいました。
http://www.gapminder.org/world/#$majorMode=chart$is;shi=t;ly=2003;lb=f;il=t;fs=11;al=30;stl=t;st=t;nsl=t;se=t$wst;tts=C$ts;sp=5.59290322580644;ti=1863$zpv;v=0$inc_x;mmid=XCOORDS;iid=phAwcNAVuyj1jiMAkmq1iMg;by=ind$inc_y;mmid=YCOORDS;iid=phAwcNAVuyj2tPLxKvvnNPA;by=ind$inc_s;uniValue=8.21;iid=phAwcNAVuyj0XOoBL_n5tAQ;by=ind$inc_c;uniValue=255;gid=CATID0;by=grp$map_x;scale=log;dataMin=283;dataMax=110808$map_y;scale=lin;dataMin=18;dataMax=87$map_s;sma=49;smi=2.65$cd;bd=0$inds=;modified=75
また、新美南吉の童話「手袋を買いに」を引き合いに、市場を通して人と人とはつながっていること、市場のルールを守ればお互いがhappyになること、などをお話しされました。
また、宮澤賢治の童話「なめとこ山の熊」の中で猟師が熊の毛皮を商店に安く買いたたかれる下りを引用しながら、特定の人にだけ依存するのではなく、市場を通していろいろな人とつながることで、公正な取引がなされ、みんながhappyになれること、などを話されるとともに、障害者の自立の話と合わせて、特定の人だけでなく広くいろいろな人とつながってこそ人は自立できる、ということなどをお話しされました。
そして、「もともと『経済』とは、『経国済民』という意味であり、経済学とは、より良い世の中を作るためのものである。」というお話もされました。
講演後の質疑では、「経済学がこんなに暖かい心に満ちたものだと知って驚いた。」などの声もあがるなど、多くの方々にとって、目からうろこが落ちるようなお話でした。
また、ご家族のことなどで悩みを抱えておられる方から「松井先生の話を聞いて、救われた気持ちになりました。」という感想も寄せられました。
こどもーるでは、今回の講演会を皮切りに、以下の2つの事業を「まごころ循環コミュニティづくり事業」としてスタートします。
①リタイア世代や主婦の方などがこどもの育成に関わる仕組みである「次世代育成支援員」制度
②子育て真っ最中の方々がインターネット掲示板で安心して情報交換を楽しんだり悩みを打ち明けたりできる「webオープンカレッジ」
これらは、まさに人と人とがつながる仕組みです。
今回の松井彰彦教授のご講演は、こどもーるがこれから取り組もうとしている事業に対する力強いエールでもあったと思います。
私達も今後さらに前進していきます!
読谷山洋司
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