「与え合う」ことが真の自立に
子育ての究極の目的は、こどもの自立だと思います。
親はいずれは先立つのですから、こどもに良い境遇を与えることや、こどもを痛い目に遭わせないよう守ることは、いつまでもできませんし、すべきではありません。
親の役割とは、こどもがどんな困難に陥っても、そこから自力で立ち上がり、困難を乗り越え、自分に自信を持ち、周囲や情報に流されることなく、自分らしく生きていけるような人間に育てることだと思います。
昨年10月の総務省の労働力調査で雇用者数が史上最高の数値になっているとのこと(参照:http://tameike.net/pdfs8/tame532.PDF)、これは報道では非正規雇用の増などと、必ずしもポジティブにはとらえられていないかも知れませんが、要は男女ともに働いている人が増えている、つまり共働き傾向が強まっているということだと思います。
子育て世代の共働きも史上最多ということかも知れません。お父さん・お母さんともに、今までで一番忙しくなっていると言えるように思います。
毎日のことに追われ、塾や習い事には行かせるけれど、大切な生き方などを教える時間がない・・・これが今の日本の親の実態だと思います。
家庭の教育力、地域の教育力が一層低下していると言わざるを得ません。
では、どうするか?
ここで、高齢者の役割が大いに期待されます。
長年培ってきた生き方、大切な価値観、これらをこどもたちに伝えていただくことで、家庭や地域の教育力の低下が補われる。むしろ強化されるとも考えられます。
かつての近所のおじちゃん、おばちゃんが担ってきた、いわゆる「ナナメの関係」による教育が、高齢者によって行われる仕組みが是非とも必要です。
そこで、「こどもーる」(http://codomall.com/)では、去る1月31日にNPO法人つながり(代表者:小川敬之九州保健福祉大学教授)と共催で、「小川先生の脳と体の健康のお話・体操」プラス「ペットボトルで風車を作る」イベント「みんな集まれ!」が開催されました。
これは一回限りのイベントではなく、今後継続していく取組みです。
これは、「介護予防事業」と「こどもの『生きる力』を育む事業」を同一事業として実施したものですが、このような事業を継続していくとともに、高齢者の方々がしかるべき役割を担って地域や学校で活躍する仕組みを今後つくることにより、高齢者の方々は今まで培ってきた「生き方」「大切なもの」をこどもたちに伝え、一方でこどもたちは高齢者に元気と笑顔を提供するという、「与え合う関係」が築かれます。
http://www.codomall.com/blog/cat17/
世のため人のために自分ができることをする・・・これにより、人は自分に自信と誇りを持てるようになります。
こどもが自分に自信と誇りを持てるようにすることこそが、今の日本には最も必要なのだと思います。
不登校の児童・生徒や、ニートの若者も、人のためになることをする経験を積み重ねていけば、きっと自分に自信が持てるようになると思います。
デイサービスと保育園を一体的に整備して高齢者にも子供にも良い効果が出る取組みが「富山方式」と呼ばれていますが、九州保健福祉大学という、こどもの教育の分野も、高齢者福祉の分野も、ともに高度の専門性を持っている総合福祉大学が立地している宮崎県の県北地域において『介護予防事業』と『こどもの「生きる力」を育む事業』とを大学・行政と連携して一体的に実施する取組みが、「延岡方式」として全国に知れ渡り、延岡の取組みが全国に貢献することを私達は期待しています。
読谷山洋司
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